今やSNSは、スマホを持っている人のほとんどが使用していると言っても過言ではないツールです。
個人的な発信やコミュニケーションはもちろん、様々なビジネスシーンでも活用されています。
認知獲得・集客や売上アップが見込めるため、積極的にSNSの運用やプロモーションをおこなう企業や店舗も珍しくないです。
当然、接客業であるホスト業界も例外ではありません。活用方法次第では、現役ホスト・ホストクラブ経営者共により多くの集客や求人につなげることが可能です。
この記事では、ホストのSNS運用についてを詳しく解説します。
SNSの種類や特徴はもちろん、SNS戦略の立て方や実践方法、運用のコツから気をつけるべき点まで網羅しています。
現役プレイヤーや広報担当の方なども、ぜひ参考にしてみてください。
ホストや経営者にSNS運用が注目されている理由
まず結論を申し上げると、ホストやホストクラブ経営者はSNSを運用すべきです。
なぜならスマホを持っている人のSNSの利用時間は年々増加傾向にあるからです。
引用:令和2年(2020)版 総務省「情報通信白書」
これは、SNSが情報発信と収集を誰でもおこなえるのが大きな理由でしょう。
SNSはスマホひとつあれば利用でき、なおかつ費用もかかりません。この手軽さはホスト業界においても見逃せないポイントです。
何故ならSNSはホストからすると集客に、店舗からすると集客+求人に繋がる可能性があるためです。
たとえばとあるホストいわく、SNSを見て初回来店したお客さんの数は20名以上にも及んだとか。
これは多くの女性がSNS上でホスト関連の情報収集をしているのが大きな理由でしょう。
外販や案内所よりも気軽に利用できるSNSで、行きたいホストクラブや会いたいホストのリサーチをしているわけです。
ホストからすれば、初回来店組数が多いほど初回指名獲得のチャンスも増え、売上を立てやすくなるのでメリットしかありませんね。
またホストクラブ経営者側も同様に、SNS経由で40人もの新規採用に繋げられたそうです。
最近は検索エンジンよりもSNS検索が主流になっています。そのため、求職者側もSNSでお店探しをおこなっているのです。
上記のような効果・実績があることから、SNSの運用はホストクラブにとって利益に繋がる可能性が高いと言えます。
以上を踏まえれば、すでにアナログな手法が通用しない時代と言っても過言ではありません。
したがって、現在SNSを1つも活用していないホストや経営者はすぐにSNSを始めるべきでしょう。
ホストや経営者におすすめの5つのSNSと基礎的な使い方
SNSと言えば、LINE、X(旧:Twitter)、Instagram、TikTok、YouTube、note、facebookなど種類は多岐にわたります。
各SNSの違いや特徴は以下の通りです。
ユーザーの多さ | 手軽さ | 拡散力 | |
---|---|---|---|
LINE | (9,500万) | ||
X (旧Twitter) | (4,500万) | ||
TikTok | (1,700万) | ||
(3,300万) | |||
YouTube | (7,000) |
文章や写真、動画などそれぞれの投稿に特化しているため、何をメインに投稿するかで利用するSNSも異なってきます。
また人それぞれではありますが「初期費用」「時間」「継続性」などを鑑みると以下の優先度で使用し始めるのがベターでしょう。
LINE
> X(旧:Twitter)
> Instagram = TikTok
> YouTube
下記でも詳しく解説しますが、LINEやX(旧:Twitter)は利用者も多く、操作性も極めてシンプルなSNSです。
InstagramやTikTok、YouTubeなどは画像や動画編集のセンスやスキルが必要なため、ややハードルが高い傾向にあります。
以上を鑑みると、そもそもの用途や目的によって使い分けるのはマストです。
1.LINE
特徴 | ・チャット型SNS ・グループ作成し交流範囲の決定も可能 ・投稿よりもメッセージのやり取りがメイン ・「LINE VOOM」にて動画コンテンツの投稿可能 ・投稿には足跡が残る |
月間 アクティブユーザー | 9,600万人 ※2023年9月末時点 |
ターゲット層 | 全世代 |
こんな人 店舗におすすめ | ・動画撮影・簡単な編集ができる ・動画のトレンドに詳しい ・定期的に投稿できる |
もはや現代人の必須連絡ツールである「LINE」も、SNSのひとつ。
ホストにおいても欠かすことができない必須ツールとなっていますね。
タイムライン形式の「LINE VOOM」を利用すれば、個人ユーザーでもショート動画コンテンツの投稿が可能です。
LINE上で友だちかどうかは関係なく、フォロー内・フォロー外の投稿を閲覧できるのが特徴です。
また動画にはいいねやコメント欄があり、ユーザーやフォロワーのやりとりも気軽におこなえます。
おすすめ機能があるため、ある程度人気が出ればピックアップされやすい傾向です。
メッセージの確認ついでに投稿をチェックする人も多いため、拡散・認知も期待できます。
2.X(旧:Twitter)
特徴 | ・文章投稿型SNS ・140字以内のつぶやき(ポスト)を投稿可能 ・写真・動画も投稿可能 ・DM機能がある ・課金機能(Blue)がある |
月間 アクティブユーザー | 4,500万人 ※2017年10月時点 |
ターゲット層 | 全世代 |
こんな人 店舗におすすめ | ・ネットトレンドに詳しい ・コツコツ作業が得意 ・ユーザーの気持ちを想像できる ・リプライやDMの返信ができる |
世界中で3億人以上ものユーザーを抱える巨大SNSの『X(旧:Twitter)』。
140字以内の文章や、写真・動画の投稿ができます。なお、サブスクのBlueに加入すればブログのような長文の投稿も可能です。
リポスト機能による爆発的な投稿の拡散(=バズ)が狙えるため、界隈外の層にまで投稿やアカウントを認知されるチャンスが多いのも特徴。
日常の報告やイベント・キャンペーン告知など、マルチに運用できるのも魅力。
またリプライ機能やDM機能があるため、潜在層の女性に対して営業をかけるホストも少なくありません。
多くのホストや店舗がアカウントを持っていますので、運用しておいて損はないSNSです。
3.Instagram
特徴 | ・写真投稿型SNS ・投稿にタグ付け・ハッシュタグ検索が可能 ・リール(ショート動画)投稿が可能 ・ストーリー機能(投稿が24時間後に消える)がある ・DM機能がある |
月間 アクティブユーザー | 3,300万人 ※2019年6月時点 |
ターゲット層 | 10代〜30代 |
こんな人 店舗におすすめ | ・写真撮影や編集が得意 ・「インスタ映え」を意識できる ・ブランディングをしたい ・映り込みに配慮できる |
Instagramは写真投稿に特化したSNSです。
写真の他にショート動画やストーリーの投稿も可能なので、文章を書くのが苦手な方でも使いやすいでしょう。
ホストのビジュアルやプライベート、店内の様子などを写真で伝えられるため、ユーザーへの訴求力が高く親近感を持ってもらいやすい傾向にあります。
ただ、認知度を広げインフルエンサーになるには、被写体の魅力や世界観の統一が求められます。
そのため、写真撮影のテクニックや加工・編集の仕方を磨きながら運用していくのがベスト。
実際インフルエンサー的に活躍するホストも少なくありませんので、投稿を参考にするのもおすすめです。
4.TikTok
特徴 | ・ショート動画投稿型SNS ・ダンス動画やあるある系・切り抜き動画が中心 ・ビジュアルをアピールしやすい |
月間 アクティブユーザー | 1,700万人 ※2021年時点 |
ターゲット層 | 10代〜20代 |
こんな人 店舗におすすめ | ・毎日投稿ができる ・簡単なダンスを踊れる ・ビジュアルに自信がある ・切り抜きや大喜利などネタを考えられる |
TikTokは動画投稿型のSNSです。数十秒〜1分程度のショート動画が中心です。
他のSNSに比べて、同業者が少ない傾向にあります。したがって、一度でもバズればかなりの知名度アップにつながります。
TikTok経由で、TwitterやInstagramなど他のSNSにも興味を持ってもらえるケースも少なくありません。
プレイヤーであれば最初のうちはホストであることを明かさず、一投稿者として投稿するのもおすすめ。
ホストに対して良いイメージを持っていない層にもアプローチできますよ。
5.YouTube
特徴 | ・動画投稿型SNS ・10分程度の動画中心(ショート動画の投稿も可能) ・バラエティ、ドキュメンタリーなどジャンルは様々 ・将来的に収益化が可能 |
月間 アクティブユーザー | 7,000万人 ※2022年時点 |
ターゲット層 | 全世代 |
こんな人 店舗におすすめ | ・企画力やトーク力、リサーチ力がある ・動画撮影の時間を確保できる ・編集スキルがある ・撮影や編集スタッフが確保できる |
言わずとしれた、世界最大の動画配信サイト。プレイヤー個人はもちろん、店舗やグループもYouTuberとして数多く参入しています。
動画の再生数が伸びれば、急上昇ランクやおすすめ動画にピックされあらゆる層の目に留まりやすくなります。
ただ、企画立案からスケジュール調整、撮影時間の確保まではもちろん、カメラマンや編集スタッフも必要になる場合がほとんど。
他のSNSに比べて、手間や経費ははるかにかかります。
しかしチャンネル登録者数も増えれば収益化も可能になりますので、軌道に乗ればリターンはかなり大きいです。
【SNS運用戦略】フォロワー数や再生数を増やすための基盤
SNSを上手に運用するには、戦略を立てて基盤づくりをおこなうことが必須。ただやみくもにたくさん投稿すれば良いわけではありません。
SNS戦略の立て方の流れは以下の通りです。
SNS運用戦略の立て方
まず、SNS運用のゴールを設定します。ホストであれば「初回指名客の開拓・獲得」「認知度の向上」、経営者であれば「グループや店舗のブランディング」「求人応募の増加」などが挙げられます。運用方針のブレを防ぐためにも、最初にしっかりと明確化すべきです。
次に、どんな層にアプローチするのかを決めます。ユーザー像として「年齢・性別・趣味・仕事・ライフスタイル」などを仮定してください。ホストであれば「ホストに興味のある男性アイドルファンの女子大生」、経営者であれば「成功してブランド品や外車を買いたい20代の男性」など。既存のお客さんや求職者の情報も踏まえると、より具体的になります。
他のホストや店舗のSNSを調査します。「投稿内容」「投稿頻度」「エンゲージメント数」などに注目してみましょう。運用の方向性や活用方法などのヒントになりますので、なるべく多くのアカウントをチェックするのがベストです。
これまでに決定した目的やターゲットを元に、使用するSNSを選びましょう。先述したように、各SNSで特徴やユーザー層が異なりますのでその点も考慮するのがベストです。
KPIとは、目標を達成するために重要となる数値を指します。「フォロワー数」「インプレッション数」「コンバージョン数」などを設定しておくと、効果検証がしやすいです。KPIの設定には、他ホストや店舗アカウントの数値を参考にするのがおすすめです。
最後に、投稿する頻度と内容を検討します。内容についても、競合アカウントを参考にしつつオリジナリティを出しましょう。SNSによっては、毎日投稿や決まった曜日投稿など効果的な場合も。ターゲットがSNSを閲覧する時間帯なども考慮し、投稿時間も定めておくとなお良いです。
好きなように投稿しているように見えるアカウントでも、実際は上記フローのように綿密に計算されている場合がほとんどです。
競合よりも成果を出すためには、段階を踏み着実に運用を進めていくのが堅実だと言えます。
ホストや経営者は知っておきたいSNS運用の8つのコツ
ホストや経営者がSNS運用をするにあたって、知っておきたい8つのコツをご紹介します。
どれも成果を得るには欠かせないものですので、最後まで要チェックですよ。
SNSが上手い人を頼る
SNSアカウントのフォロワーが少ないうちは、SNSが上手い人を頼るのもありです。
当然ですが、SNSは投稿をたくさん見てもらうことで真価を発揮します。
たとえば投稿を拡散してもらったり、紹介してもらったり、動画や写真に映らせてもらったりするのが近道。
インフルエンサーは当然フォロワー数が多く、知名度はもちろん拡散力もかなり高いです。
一度でも投稿やアカウントを拡散してもらえれば、それだけ多くの人の目に触れます。
そこから投稿の再拡散やフォロワーの増加も見込めるため、知人やツテがある場合は積極的に協力を仰ぐべきです。
有名ホストをとにかくまねる
有名ホストの投稿をとにかく真似てみるのもおすすめです。
告知の仕方ひとつでも工夫されている場合も少なくありません。投稿内容に迷ったときは、必ず参考にすべきです。
特に、業界の垣根を超えてマルチに活躍している方であれば学ぶ点が多いはず。
その中でも自分のキャラや容姿などの雰囲気が近い人だと、よりフォロワーのニーズと合致しやすいです。
まねていくうちにバズるコツや法則を掴めてきますし、投稿スタイルも確立していきますよ。
投稿内容が同じもの一辺倒にならないように変える
特に気をつけたいのが、同じような投稿を繰り返してしまうパターン。
写真を投稿するにしても、毎回同じ画角、背景、洋服では代わり映えしません。
ユーザー側も興味を持てず、いいねや拡散してシェアしたいと思うまでに至らないのは当然です。
なるべく撮影場所を変え、髪型や洋服もバリエーションをつけるようにするのが望ましいです。
また、投稿内容は自分に関するものに限定しない方が良いです。
従業員と一緒に撮った写真や、一緒に遊びに行ったことなどを投稿すれば拡散してもらえる利点があります。売れているプレイヤーならなおさらです。
加えて、メンションやタグ付けなどもおこなうとより効果が見込めますよ。
なるべく投稿の内容が一辺倒にならないよう、工夫を凝らしましょう。
ギャップを見せる
プレイヤーであれば、投稿で普段とのギャップを見せるのも効果的。
たとえば、普段はクールで近寄りがたいキャラクターなのに、SNS上ではかなり庶民的で和やかな投稿をしていればどうでしょうか。
ユーザー側からすると、かなり親近感がわきやすいはずです。
プラスとマイナス感情の差が大きいほど、人の心に影響を与える度合いが大きくなる現象を、心理学的には「ゲイン・ロス効果」と呼びます。
ホストとしてのブランディングを意識しつつ、自身のギャップについて探求するのが望ましいです。
需要を見極めて発信する
ユーザー側の需要を見極めて発信するのも大切です。
ユーザーの立場になったとき、ホストのどんな仕事について興味があるのか、どんな情報が求められているのか深掘りする必要があります。
動画であれば、ただシャンパンコールの様子を終始撮影しただけではなかなか最後まで再生されません。
短く編集したり、見せ場を作ったり、エフェクトを追加したりなどをすれば、再生数は増えるはずです。
加えて、他の投稿やアカウント自体にも興味を持ってもらえる可能性も上がります。
「面白い」「役に立つ」と思ってもらえるコンテンツに仕上げるためには、工夫や努力はマストです。
投稿の頻度やタイミングを見極める
より多くのいいねや拡散を狙うのであれば、投稿する頻度や時間帯まで見極めるべきです。
各SNSのアナリティクス機能や、無料のアクセス解析ツールを利用すればどの時間帯にアクセスが最も多いのかを分析できます。
自分のアカウントに合わせて投稿時間を設定してみましょう。
なお、一般的にSNS投稿をするのにおすすめの時間帯は以下の通りです。
・通勤時間帯
(平日7時~9時/土日8時~10時)
・昼食・昼休憩中
(平日・土日12時~13時)
・休憩中・放課後
(平日・土日15時~17時)
・夕食後・就寝時間前
(平日・土日20時~22時)
1日に複数回投稿する場合は、この時間帯に分けてみるとより効果が得られやすいはず。
また、学生や社会人共にSNSを見る時間は夕食後・就寝時間前が多い傾向にあります。したがって、最もアクティブユーザーが多くリーチ率が高め。
動画や告知など、あまり投稿頻度が多くない場合はこの時間帯を狙っておくのが安牌です。
マイナスな発信はしない
日々の運用の中で特に気をつけたいのは、マイナスな投稿をしないこと。
SNSは日記的な側面もあります。気分によっては、悩みや不満を投稿したくなるときもあるかもしれません。
しかし、ネガティブな発信ばかりしているアカウントをフォローしたり、ないしは指名してお店へ行ったりしたいと思う方は少数派。
閲覧していて楽しい・面白い投稿をしているアカウントには、ユーザー側が好意的な印象を持ちやすい傾向にあります。
炎上リスクを避けるためにも、誰かが不快に感じるようなマイナス投稿は控えるべきです。
上手くいかない場合は運用代行を頼むのもアリ
なかなかSNSがバズらない、効果が得られないときはプロに運用代行を依頼するのも手です。
SNS運用代行とは、その名の通りSNS運用を代わりにおこなってくれるサービス。
肝心の本業が忙しく、物理的に時間を割けないといった悩みも併せて解消してくれます。
ただし、きちんと費用対効果も考えた上で検討・依頼するのが大切です。
なお、SNS運用をサポートしてくれるおすすめの会社や選び方については、以下の記事にて詳しくご紹介しています。併せて参考にしてみてください。
SNSを運用するにあたっての注意点
SNS運用をする際は、必ずネットリテラシーを守るのが大前提です。具体的な注意点は以下の通り。
・誹謗中傷しない
・個人情報を記載しない
・虚偽の情報を記載しない
・著作権や肖像権を侵害しない
・投稿の公開範囲に注意する
・各SNSの規約を守る
SNSで発信した先には、不特定多数の「相手」がいるのも忘れないようにすべきです。
ネット上に限った話ではありませんが、情報や言葉の受け取り方は人それぞれ。
無用な誤解を生まないよう、モラルや言葉の選び方には一層気をつける必要があります。
もし上記のような発信をきっかけに炎上してしまえば、開示請求や訴訟沙汰にもなりかねません。
万が一を回避するためにも、当たり前のことを遵守してSNS運用に励みましょう。
まとめ:ホストや経営者にとってSNSは集客・採用の期待ができる最強ツール
SNSは、ホストや経営者にとって集客・採用の期待ができるツールです。
改めてSNS運用について押さえておきたいポイントをおさらいしましょう。
- SNS運用は集客や採用において効果が見込める
- 運用開始前に目的やゴールを設定する
- フォロワー数や再生数を増やすための基盤を固める
- 運用のコツをしっかり押さえる
- 運用時にはネットリテラシーを守る
SNSはしっかり目標を据えて運用すれば、リターンが見込めます。
現役プレイヤーや経営者の中で独立を視野に入れている方や店舗拡大などを考えている方にとってもメリットは十二分。
ホスト業界でよりステップアップしていくためにも、ぜひこの記事を参考にSNS運用をしてみてください。