ホスト業界で売上を伸ばすにあたって、人材育成は必要不可欠。
ホストは同じ接客業でも一般的な飲食店やショップ店員と比べるとはるかに客単価が高く、特殊なノウハウが求められる仕事です。
未経験から始めた新人はもちろんですが、長く在籍しているのに全く売れないというホストも少なくないほど。
この記事では、ホストクラブにおける人材育成の重要性と成功の秘訣を解説しています。
もし人材育成に注力していなかったり成果が出ていなかったりするのであれば、ぜひ本記事に目を通してみてください。
読めば人材育成についての理解を深められるほか、実際に効果に繋がりやすい具体的な手法が分かります。
ホストクラブにおける人材育成とは?
ホストクラブにおける人材育成とは、売上目標を達成できるように従業員の成長を促して育成すること。
たとえばプレイヤーならより指名本数を獲得できるノウハウを教えたり、内勤なら店舗運営に役立つ知識やツールを習得させたりするイメージです。
ホストクラブ側が従業員を育て能力を向上させることで、結果としてお店全体の売上アップを図るという目的で行われます。
人材育成がもたらす3つの恩恵(メリット)
ホストクラブの経営において、人材育成がもたらす3つの恩恵(メリット)をご紹介しています。
人材育成にコストがかかるのを加味しても、非常に大きなメリットと言えるでしょう。
売上の増加
人材育成をして従業員の能力が向上すれば、売上の増加が見込めます。
何も考えずに接客しているホストより、「好感を得やすい接し方」「成功率の高いお酒の煽り方」などを理解している能力の高いホストの方が売上を立てられるのは明白です。
店舗に在籍する従業員の人数を考えてみれば、けっこうな売上額に影響するのが分かります。
早期離職の防止
人材育成は、早期離職の防止にも繋がります。
どの仕事においても言えることですが、就業中にやりがいを感じるのは成長を感じたり成果が出たりした時です。
逆にいくら働いても売上が立たなければ、「ホストに向いていない」「売上も増えなくて稼げない」と退職を検討してしまうもの。
それに自分がなんの成長もしていないと分かれば、メンタル的に働くのが苦痛に感じてきます。
成長できる機会を求めて、転職を検討する人もいるでしょう。
そこでお店が人材育成に取り組んで成長の機会を提供し、売上が立つようになれば離職の防止にも期待できるというわけです。
代表や主任と言った役職候補の育成
代表や主任など、役職候補の育成ができるのも大きなメリットの一つです。
もし店舗を拡大するとなったら、経営や管理を任せられる人材が必要になります。
そこであらかじめ人材を育成していれば、新たに採用する手間を省けたり能力不足の従業員に仕事を任せたりする心配は要りません。
より効率的に売上を上げていくにあたって、経営部分の仕事を任せられる人材を育成しておくことはお店にとって有益に働くというわけです。
ホストクラブの人材育成の主な手法
ホストクラブにおける人材育成の手法は、主に下記の通り。
- OJT
- チーム制の導入
- 集合研修
- 集合研修
それぞれの手法について詳細をご紹介していくので、一読してぜひ導入を検討してみてください。
OJT
OJTは多くの企業で実践している教育手法で、実業務を通して教育担当者が指導を行う「職場内訓練」を意味します。
ホストクラブの業務に置き換えて考えると、お客様の接客をしながら教育担当のホストがお酒の注ぎ方・テーブルマナーなどを実演して教えるイメージです。
実演してやり方やポイントを伝えた後は実践してもらい、反省点を指摘したりアドバイスをしたりして成長を促します。
業務内容を体験しながら詳細を把握できるので、実践的な知識や技能をすぐに身に付けられるというのがメリット。
また教育担当である先輩・上司のホストと密にコミュニケーションを取るため、新人なら不安が解消されて定着率の向上に期待できます。
チーム制の導入
チーム制とは、ホストをグループ分けしてチームを複数作ること。
チームリーダーを務める幹部ホストが、他のチームと競わせながら教育や指導を行っていく手法です。
少人数規模で構成されることにより、リーダーの目が行き届きやすく、メンバーのホストを親身になって指導しやすいというのがメリット。
リーダーが個々のホストの実業務を細かく見られるので、課題の発見や適切な指導を行うことができます。
また教育方針はリーダーに委ねられ、チームによって異なるのもポイント。
ホストによって合っている売り方は違うので、リーダーが教える方法が必ずしもチームメンバーに合っているとは限りません。
だからこそ適切にチームを配置できれば、効率よくホストの成長が見込めます。
集合研修
集合研修とは、ホストを集めて一斉に研修を行うこと。
ホストクラブの集合研修ではプロの外部講師を招き、業務に通ずる講習会を開催して知識や技能を身に付けさせるのが一般的。
接客・マナー、SNSの使い方、メイク・ファッションなどが代表例です。
中には弁護士や金融、英会話やPCといったホスト引退後を見据えた講習をしているホストクラブもあります。
自分磨きができる講習会はホストにとっても有益なため、福利厚生の一環として人気です。
幹部面談
幹部に対して面談を実施するというのも、ホストクラブではよくある教育手法です。
面談で幹部に聞く内容は、以下の通り。
・売上について
・店舗やチームのホストについて
・生活習慣をはじめとした自己管理について
・前月の振り返りや自己評価
設定した目標に対して自己分析の機会を毎月設けることで、成長を促すのが目的です。
また定期的な面談には、コミュニケーションを深めて信頼関係を築くという効果もあります。
1,000万プレイヤーを輩出するために意識したい5つの人材育成ポイント
年に1,000万円以上売り上げるような人気ホストは、お店にとって非常に有難い存在。
お店の人材育成なくしては生まれず、ただ教育を行っているだけで到達できるほど甘くはありません。
そこで本章ではホストクラブの人材育成において、1,000万プレイヤーを輩出するために意識したい5つのポイントをご紹介します。
挨拶・遅刻をしない・毎日出勤といった基本の徹底
挨拶・無遅刻・無欠勤などは基本ながらも、できていないホストがたくさんいるのが事実。
そのため本人の自主性に任せず、人材育成の中で基本を徹底させるのは非常に大切です。
ホストとして売れるには、ルックスやトーク力などが必要です。
しかしいくら持ち前の魅力があったとしても、基本ができていなければ引いてしまうというお客様もいます。
ファンになってくれるお客様層の幅を狭めないためにも、女性の口説き方やお酒の注ぎ方以前に基本の徹底が必要です。
それにできていないホストが多いだけに、基本がしっかりしているとギャップで印象が良く見られるというメリットもあります。
アドバイスはすべて試す
アドバイスはすべて試すというのも、ホストが成長するうえで大切なことです。
ホストにはそれぞれ自分に合った売り方があるため、アドバイスが正解かどうかは実践してみないと分かりません。
だからこそホストが成長するには、「アドバイスを受けたらとにかく実践してみる」という精神が必要です。
まずは特定のやり方に固執せず、自分に合ったやり方を模索するように指導しましょう。
目標は小刻みに設定する
いきなり「1,000万プレイヤー」を目指すのではなく、目標は小刻みに設定するのがポイントです。
大きな目標を立てると現実味がないばかりかなかなか達成できず、やる気もでなければ落ち込んでしまう原因にもなります。
そのためまずは頑張れば手が届きそうな目標を設定し、段階を踏んで成長していくのが重要です。
成功体験はやりがいや自信にも繋がり、働くモチベーションも上がります。
常に新規のお客様を開拓する
新規のお客様開拓は、常に意識して行うように促しましょう。
ある程度売上が立つと、新規客を軽視するようになるホストがいます。しかし1,000万プレイヤーを目指すなら、新規客の開拓は必要不可欠。
たとえ現状そこそこ売れているからと言え、お金を落としてくれるお客様がいつ離れてしまうかは分かりません。
そのため新規客の開拓にあぐらをかいていると、太客がいなくなった時に一気に売上がなくなってしまう恐れがあります。
また既存客の客単価を伸ばすだけでなく、新規客の開拓を並行して売上を増やす方が1,000万プレイヤーを目指すのに効率的です。
ブランディングする
歌舞伎町だけでも数千人を超えるホストがいる中で、売れっ子になるにはホスト個人のブランディングをしてあげるのも重要です。
ホストにおけるブランディングとは、ホストという商品の魅力を最大限に引き出せるよう内面・外見を整えること。
例えば奇抜な髪色や女装をしていたり、王子様のような言動を徹底していたりするホストがブランディングの例として挙げられるでしょう。
ただしブランディングをする際は、目に見えて分かりやすい奇抜なキャラクターを取ってつければ良いというわけではないので注意してください。
考え方としては、「ホストの長所を見つけてとことん伸ばす」を意識しましょう。
取って付けたような強引なキャラづくりは長続きしないだけでなく、求められているニーズに合っているとも限りません。
人材育成の基盤が構築できているホストクラブの実例
実際に人材育成を重視し、注力しているホストクラブも少なくありません。
本章では人材育成の基盤が構築できているホストクラブの中から、実例を2つご紹介します。
冬月グループ
歌舞伎町を中心に20店舗以上のホストクラブを展開する「冬月グループ」では、「ニュージェネレーションセミナー」という新人研修を行っています。
グループの歴史・理念やホストとは何かなどを伝え、新人が基礎的な知識を習得するのが目的です。
加えて冬月グループでは、経営理念をはじめマインド・アクションの十ヵ条などを記載したハンドブックを配布しています。
読めば理念や行動指針をいつでも確認できるので、研修で聞いたきりで終わらないのがメリットでしょう。
また三ヵ月ごとにすべてのホストに目標設定面談を実施しており、長期的なサポートも欠かしていません。
さらに幹部は毎月面談をしているそうで、人材育成に力を入れて取り組んでいるのが伺えます。
group BJ
1億円プレイヤーを複数人輩出している「group BJ」もまた、人材育成に注力している業界屈指の大手グループ。
人材育成を見てみると、他ではなかなか聞かないようなマネジメントをしていてこだわりが伺えます。
例えば一度価値観を壊すために、ホストに髪色の変更を提案するというマネジメント手法。
「イケてる」という個人の感覚を崩し、自分は変われるという体験をすることでホストの成長を促すのが狙いだそうです。
またチームプレーを大切にする経営方針のもと、group BJでは「お客様にモテる前にスタッフにモテろ」と教えています。
取り組みとして、評価システムに「従業員同士の評価」を加えているそうです。
個人で競い合うホスト業界では珍しい方針ですが、グループの実績を見れば間違いでないのが分かります。
まとめ:ホストクラブにおいて人材育成は必要不可欠
ホストクラブにおける人材育成は売上増加や早期離職の防止など、お店にとって非常に大きなメリットが見込めます。
それに経営を任せられる役職者を育成できるため、店舗拡大にあたっては必要不可欠です。
まずは下記の手法から、取り組んでみると良いでしょう。
- OJT
- チーム制の導入
- 集合研修
- 集合研修
また本記事で紹介している1,000万プレイヤーを輩出するための育成ポイント5つも合わせて、参考にしてみてください。
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