ホストクラブにおける脱税のリスクを解説!絶対に知っておきたい税金の知識まとめ

ホストクラブやホストが脱税すると、そのダメージは計り知れません。追徴課税があるのはもちろん、顧客離れや逮捕・起訴といった事態に陥ることも考えられます。

この記事では、そのような事態を避けられるように「ホストクラブにおける脱税のリスク」や「税金に関する知識」を徹底解説します。

税務調査でチェックされるポイントや税務調査の対象となりやすいお店の特徴も紹介しているので、ぜひじっくり読んでみてください。

目次

ホストクラブにおける脱税の実情

大手グループを始めグループ単位やホスト個人の脱税が実際に起きています。

2024年10月には、新宿・歌舞伎町など各地でホストグループを運営している9社およびホスト30人が国税局より、およそ20億円の所得隠しを指摘されました。

脱税の方法は、売上のごまかしや架空経費が一般的です。

一方で、前述の所得隠しのように南太平洋のミクロネシア連邦の法人に対する架空の経費を数億円計上するといった、手の込んだ脱税を行っているホストクラブも現れました。

中には、顧問税理士が節税と見せかけて脱税していたといった事例もあるようです。

脱税により起こるリスク

ホストクラブやホストが税金を払っていないと、さまざまなリスクに晒されることになります。

ここでは、脱税によってお店やホストに生じる4つのリスクを解説します。

追徴課税の対象となる

脱税は払うべきものを払っていなかったことになるため、重加算税などの追徴課税の対象となります。

当然ながら追徴課税は罰の意味合いもあるため、通常納める税金よりも高額の支払いを求められることになります。

追徴課税により徴収される税は、以下のように分類されています。

  • 不足税額
  • 延滞税
  • 利子税
  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

不足税額は本来の納税額の不足分です。その他はペナルティとして課された税金となります。

延滞税は期限内に納付できなかった場合に課されるもので、下記の表を参考にすると延滞期間につきどれだけの税が課せられるかわかりやすいでしょう。

納付日税率特例
法定納期限の翌日から2ヵ月以内7.3%(年率)2.4%(年率)
法定納期限の翌日から2ヵ月経過後14.6%(年率)8.7%(年率)
※令和6年12月4日段階  参考:国税庁「延滞税の割合」

左側の原則的な税率では実際の金利とはかけ離れた数値になってしまうため、特例扱いとして算出された右の数値と比較して、数字の小さい方が適用されます。

過少申告加算税は税務調査を受けるまでに修正申告しなかったケースや税務署から申告税額の更正を受けた場合に発生するもので、追加で徴収を受ける税額のうち10%または15%を支払う必要があります。

無申告加算税は期限内に確定申告ができなかった、または税務調査を受けたあとに申告できなかった場合に発生する税金です。

追加で徴収を受ける税額のうち5%から20%の税額が設定されます。

不納付加算税は、源泉所得税を納期限までに納付しなかった場合に発生する税金です。源泉所得税に5%または10%の税額が設定されます。

重加算税は納める税金が少なかった、または期限内申告に確定申告ができなかった際に隠蔽や仮装などの不正があると発生する税金です。

過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%および無申告加算税に代えて40%の税額が設定されます。

参考:Money Forward クラウド会計

顧客離れに繋がる

ホストクラブで脱税が行われると、ニュースで知った顧客が来店を控える恐れがあります。

人気商売であるホストクラブではお店の信頼度や口コミを見て来店しているお客さんも多いため、脱税といった不祥事を起こしたお店には来店をしたがりません。

ホストクラブはあくまで接客業で、競合店もたくさんあるため顧客の信頼を失うのは死活問題となるでしょう。

売上にも響くことになり、ホストやホールスタッフへの給与の支払いが難しくなることも考えられます。

経営者やホストが逮捕・起訴される

脱税は所得税法違反に該当する恐れもあり、経営者やホストが逮捕や起訴されることも考えられます。

なお脱税事件で逮捕されるのは、一般的に逃亡の恐れがある場合や証拠隠滅の恐れがある場合に限られています。

任意の取調べには可能な限り応じたり、証拠となる物件の提出にも可能な限り協力していたりすれば、基本的に逮捕されることはないでしょう。

営業停止・閉店を余儀なくされてしまう

脱税事件を起こすと、営業停止や閉店せざるを得なくなることも考えられます。

ホストクラブは認可(風俗営業法1号営業)が必要であり、脱税の状況によっては営業停止処分が下される可能性もあります。

脱税により信用が低下し顧客離れが進むと売上がダウンするでしょう。

ホストやホールスタッフなどの働く意欲も衰え、辞めてしまうかも知れません。

また、追徴課税が重くのしかかり経営が傾くことも考えられます。

売上がダウンした状態で、賃貸料や従業員への給与を支払い続けるのは簡単ではありません。

そのような状況に耐えきれなくなり、倒産(廃業)を選択する経営者も多いのです。

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ホストクラブで脱税が起きてしまう原因

ここでは、ホストクラブで脱税が起きてしまう原因である、ホスト個人や経営者の納税意識が低い点について説明します。

気づいたら脱税していて税務署に摘発された、なんて事態を必ず回避したい人は是非チェックしてください。

ホスト個人・経営者の納税意識が低い

ホストクラブで脱税が発生する原因は、ホスト個人および経営者の納税意識の低さにあります。

ホストのほとんどが歩合制の個人事業主であり、彼らは自分で確定申告をしなければなりません。

しかし、面倒がってやらなかったりそもそも確定申告の必要性を知らなかったりといったホストも多くいます。

一方でお店の代表・幹部やお店に雇用されて働いているホストは、一般のサラリーマンと同様に固定給が支払われており、毎月の明細から源泉徴収されているはずです。

経営者の脱税も納税意識の低さが原因であることが多く、さらに利益の確保といった面から行われることも少なくありません。

税務調査の概要

お店やフリーランスに対して実施されることのある税務調査の概要について解説します。

申告していなくても税務調査の対象になったり、運営会社以外にもお店や個人事業主に行われたりなど事前に知っておくべきことがいくつもあります。

税務調査が気になっている方はぜひチェックしていってください。

税務署が実施する納税が正しく行われているかを確認する調査のこと

税務調査とは税務署が実施するもので、法人税や所得税を申告している事業に対し、納税が正しく行われているか調べる調査のことです。

納税者の申告内容を帳簿内容などから確認し、誤りが見つかった場合は是正を求めます。

納税調査の選定については、国税総合管理システム(KSKシステム)を活用しており、データベースに蓄積された情報をもとにされます。

所得税・法人税の申告内容や各種資料情報、事前の情報収集なども関わってくるようです。

なお、国税局または税務署に寄せられる投書や電話による情報提供により、税務調査を行うこともあるとされています。

会社だけではなく店舗や個人事業主にも実施される

税務調査の対象はホストクラブの運営会社だけではなく、店舗や個人事業主に対しても実施されます。

営業を開始したばかりよりも、事業が軌道に乗り始めた頃に行われることが多いようです。

ただ、開業したばかりでも税務調査が来ないとは言い切れません。

事業を始めたり個人事業主として仕事を始めたりした時点から、税務調査の可能性はあると考えることが大事です。

申告をしていなくても税務調査の対象になる

「申告していないから調査の対象にならない」と誤って認識している方も少なくありません。

税務署は調査対象を申告者のみにしているわけではなく、独自のルートでも調査を行っています。

よくあるのが同業者(同グループ)に税務調査に入り、他のお店の脱税が発覚するといったケースです。

第三者による密告から無申告がバレることもあります。

多くの場合事前に連絡が入る

税務調査は、基本的に事前の連絡が入ってから行われます。

ドラマや映画などでは急に査察官が訪れ、書類などを押収する場面が描かれることが多いでしょう。

しかし、よほど悪質であったり大規模であったりする脱税が疑われない限り、連絡なしで調査が入ることはありません。

税務調査の連絡時には、ある程度の日程調整もしてもらえます。

帳簿のチェックや税理士に相談する準備期間を設けられるので、焦ることなく冷静に対処しましょう。

ホストクラブは税務調査の対象になりやすい

ホストクラブは、税務調査の対象になりやすいとされています。過去の統計から申告漏れが多い、不正行為が多いといった業種に分類されるからです 。

潜入調査が行われる場合もある

ホストクラブは現金商売であるとの理由から、お金の流れを把握するのが難しいとされています。

そこで税務調査で行われるのが、お客を装っての潜入調査です。

ホストクラブにおける潜入調査のポイントは明確で、高級酒(ドンペリなど)の売れ行きの把握に重点が置かれます。

高級酒の売れ行きを把握し、そこから売上を探り脱税が行われていないかを調査していくのです。

潜入調査にはお金もかかりますが、とくに歌舞伎町のような繁華街を管轄する税務署は大きな予算を持っているようです。

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税務調査でチェックされるポイント

税務調査でチェックされるポイントは、必要書類の確認と税務署の指摘事項への回答の2点です。

こちらでは、その2点について詳しく解説していきます。

必要書類の確認

税務調査で提出や提示を求められるのは、以下の必要書類です。

  • 帳簿(仕訳帳や総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳など)
  • 帳簿作成のもととなった領収書や請求書などの資料
  • 帳簿作成のもととなった領収書や請求書などの資料
  • 人件費関連の書類(扶養控除等申告書や源泉徴収票など)
  • その他(見積書、契約書など)

すべての書類が必要になるのではなく、実際の調査で指示された場合に提出することになります。

書類の種類が多いため、顧問税理士がいる場合は事前に打ち合わせをして揃えるべき資料に不備や漏れはないか確認しておきましょう。

参考:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」

また、顧問弁護士がいる場合には、立ち会いも依頼しておきましょう。

用意する書類の期間は、事前に告知された期間分です。

なお税務調査の多くは3年分ですが、調査内容によっては5年分や7年分の書類が必要になることもあります。

税務署の指摘事項への回答

訪問における調査が終わったあとに、税務署から指摘や質問が入ります。

その指摘や質問に対する書類の準備や回答を行ってください。

顧問税理士がいる場合は基本的に税理士が交渉(回答)を行い、いない場合は経営者自身が行います。

指摘事項への回答が終われば、税務調査は「申告是認」「修正申告」「更生」のいずれかの結果が出ます。

「申告是認」は納税者の申告内容に何も問題がなかったという意味で、「修正申告」は税務署からの指摘に応じて申告内容を修正するという意味です。

そして「更生」は税務署の指摘を受け入れなかった際に、税務署側が法律に則って追加で課税処分を行うことです。

いずれかの形で決着して、税務調査は完了となります。

税務調査の対象となりやすいお店の特徴

税務調査の対象となりやすいお店の特徴は以下の通りです。

  • 以前申告漏れを指摘されたお店
  • 売上の高いお店
  • 営業年月が長いお店

順に詳しく解説していきます。

以前申告漏れを指摘されたお店

以前、申告漏れを指摘されていたり、追徴課税を支払っていたりするお店はマークされやすい傾向にあります。

当然のことですが、一度指摘を受ければ税務署が情報を記録するため新たな税務調査の対象となりやすくなるのです。

一度も指摘されたことのないお店に比べれば、マークされやすいのは当然の結果であると言えます。

過去の問題が解決されているかをチェックするのも税務署の仕事であるため、該当するお店は気を抜かないようにしましょう。

売上の高いお店

売上の高いお店は税務署からも把握されやすく、潜入調査が入りやすいといった特徴があります。

特に高級酒がひっきりなしに出るほどの繁盛店はより大きな税金がかかるため、マークされやすくなります。

意図的に所得を隠そうとしなくても、計上ミスや書類紛失などによって誤った申告をしてしまい、それから目をつけられてしまうことも考えられるでしょう。

また、売上の変動が大きかったり、売上が増加した割に利益が少なかったりするお店もマークされやすいので注意が必要です。

営業年月が長いお店

長年経営しているお店も、税務署から目をつけられやすい傾向にあります。

営業年月が長いとその分売上も立ちやすく税金も多く徴収されるため、税務調査の対象となりやすくなります。

そもそも税務調査は3年や5年などと長期を対象としているため、開業したばかりのお店に調査が入るケースはほとんどありません。

とはいえ例外はもちろんありますので、新規店だからといって油断しないように気をつけましょう。

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税務申告を正しく行う方法

ホストクラブやホストが追徴課税を受けないためにも必要不可欠になるのが、正しい税務申告です。

税務申告を正しく行う方法は以下の通りです。

  • 税理士のサポートを受ける
  • 従業員への指導・管理を徹底する

こちらでは、税務申告を正しく行う方法を詳しく解説します。

税理士のサポートを受ける

税金の知識に少しでも不安があるなら、プロである税理士のサポートを受ける方法があります。

経費の計上の仕方や帳簿の付け方など、税務申告の作業には複雑なものが多数あります。

そういった作業をするうえで、まったくの素人よりプロに任せた方が安心安全なのは当然です。

ちなみにホストの場合、お客さんとのアフターや同伴などで食事をしたりプレゼントをしたりした際は、接待交際費として経費に計上できます。

レシート類は必ず保管して、税理士に提出できるようにしましょう。

なお、近年ではナイトワーク業界に精通した税理士と契約しているホストクラブやホストも増えてきました。

契約先を検討しているなら有力な候補となるでしょう。

従業員への指導・管理を徹底する

経営者であるなら、従業員へ税金に関する知識や申告手順を周知しきちんと税務申告しているかを徹底的に指導・管理する必要があります。

ホスト個人の脱税であっても、それが行われた店舗となればイメージダウンは免れません。

自身が経営の中で脱税をしないのは当たり前で、雇っているホスト達にも脱税のリスクについてしっかりと伝えていく必要があります。

また煩雑な手順である税務申告についても、しっかりと遂行させなければなりません。

時にはマンツーマンで教えたり、隣で記入事項を全部解説したりする必要もあるという点は認識しておきましょう。

まとめ:脱税を避け安定した経営を目指そう!

ホストクラブが脱税すると追徴課税の対象となり、大きな負担を強いられることになります。

さらに、顧客離れが起きたり、営業停止の処分を受けたりすることも考えられるでしょう。

ホストクラブおよびホストが脱税する主な原因は、納税意識の低さです。

とくにホストは個人事業主であることが多く、確定申告の仕方もわからないといったケースもあるほどです。

脱税を避けるためには、税金の専門家である税理士の利用が欠かせません。

ナイトワークに精通した税理士もいるため、脱税を避けたうえでの安定経営を目指すためにも顧問税理士として迎えるといった対策をおすすめします。

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この記事を書いた人

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